●アキュムレータ
冷凍回路内で、圧縮機の吸入側に設置されるタンク。圧縮機はガスを圧縮する部品であり、圧縮機に液冷媒が流入すると故障の原因となる。アキュムレータが設置されることで、圧縮機に吸入される冷媒ガスと残存する液冷媒を分離して、圧縮機の液冷媒が吸入されることを防止する。アキュムレータが入ることで、冷却負荷などの変動に強いシステムになる。
●インバータ制御
通常のACモータを使用したコンプレッサはAC電源の周波数によってモータ回転数は一定であるので、冷媒の吐出量も一定となる。冷凍回路におけるインバータ制御は、インバータでコンプレッサの回転数を可変させ、冷媒循環量を制御する方式である。
低負荷時に回転数を下げて運転するなどで、省エネ効果が得られる。
●キャピラリチューブ
冷凍回路内で使われるキャピラリチューブは単に内径の細い銅管チューブで、冷媒流路内で固定絞りとして働き、膨張行程で主に使われる部品。
●凝縮器
高温高圧の冷媒ガスを液化するための熱交換器。冷凍回路で汲み上げた熱を外部に放出する機能を持つ。冷却方式の違いで、空冷コンデンサと水冷コンデンサがある。
●空冷コンデンサ
空冷コンデンサは冷媒を流す銅管周りに薄いアルミフィンをたくさん立てた構造の物が一般的で、ファンモータなどによって外気を強制的に流して、周囲温度で冷却し冷媒ガスを凝縮させる熱交換器。
冷凍回路から発生した熱を空冷コンデンサで周囲に廃熱する方式であるので、室内に設置された場合は、その室内の温度が上昇する。設置される部屋には十分な換気能力、あるいは空調設備が必要。
●クーラ
→蒸発器
●クーリングタワー
クーリングタワーは冷却水が工場、建築物内を循環して回収してきた廃熱を外気に放出する装置のこと。建築物の屋上などの野外に設置される。クーリングタワー上部よりシャワー状に冷却水を落下させ、さらにファンモータで強制的に外気と接触させる。外気温度によって直接冷却されるとともに、冷却水自身が一部蒸発することで蒸発熱を奪い、冷却される。
クーリングタワーは外気によって直接冷却されるため、季節による気象条件によって得られる冷却水の温度は変わる。
また理論的に、外気の湿球温度より5℃程度高い温度までしか冷却することはできない。
●コンデンサ
→凝縮器
●コンプレッサ
低圧フロン冷媒ガスを吸入して圧縮し、高圧高温のガスとして吐出する。機械的圧縮方式の違いから、レシプロ式、ロータリー式、スクリュー式などの種類に分けられる。
●サーモモジュール
→ペルチェ素子
●蒸発器
冷凍回路内で低温低圧になった気液混合冷媒の気化熱(蒸発熱)によって、目的の物体(例えば水や空気)を冷却するための熱交換器。
●水冷コンデンサ
冷媒を冷却水で冷却し凝縮させるための熱交換器。大きな工場などで、クーリングタワー水や空調用の冷却水が循環して利用できる環境であれば使用できる。
熱交換器の構造の違いで、二重管式、シェルアンドチューブ式、プレート式などの種類がある。
●制水弁
水冷コンデンサの冷却水配管に設置され、水冷コンデンサに流れる冷却水の流量を調整する制御弁のこと。圧力式、温度式などがあり、それぞれ凝縮圧力、凝縮温度をフィードバックして弁開度を調整する。
冷却水の温度が低い時に大きな流量の冷却水が水冷コンデンサに流れると、凝縮圧力が下がって、冷却能力が下がってしまうことがある。このような時に制水弁は冷却水流量を絞って、凝縮圧力を希望の値に保持する。また、無駄な冷却水は流さない節水効果も制水弁の機能の一つである。
●電子冷熱
ペルチェ素子を使用して液体や気体、固体を直接冷却、加熱する温調方式。
ペルチェ素子の両側に流体に適した熱交換器を設置し、片側に温調する流体、もう一方に放熱をする熱交換器を設置して使用される。
●電子冷熱素子
→ペルチェ素子
●特定フロン
フロンは化学物質としての安定性や人体への安全性から、冷媒をはじめ工業材料として幅広く使用されてきた。しかし、そのフロンの中で塩素原子を含むフロン(CFC,HCFC)は大気に放出された後、オゾン層まで上昇し、オゾン層を破壊することが認知された。
そのためR12などのCFC、R22などのHCFCは特定フロンとして分類され、1987年のモントリオール議定書により製造が規制され、現在ではほとんど使用されていない。
当社製品でも特定フロンに代わる代替フロンとしてR134a, R404Aなどのオゾン破壊係数ゼロのHFC系フロン冷媒を使用している。
●フロン冷媒
フロン類は炭素、水素、塩素、フッ素などからなる有機化合物で、フロンという呼び方は日本で使われる俗称。海外ではデュポン社の商標名であるフレオン®(freon)と呼ばれる。
冷凍回路内で循環し、凝縮、蒸発の相変化することで加熱冷却現象を発生させる熱媒体として使用するフロン類を、フロン冷媒と呼ぶ。
●ペルチェ素子
P型N型半導体を交互に直列でつなぎ平面状に配列した構造の素子で、直流電流を流すと、2面間で熱の移動が発生し、片面が冷却し、反対面は加熱される。これをペルチェ効果と呼ぶ。
電流の向きを変えることで、熱の移動方向も変わることにより、冷却、加熱を簡単にできる。
●膨張弁
冷凍回路内で膨張行程を発生させる部品。冷媒はこれらの部品を通過する時に大きな圧力損失を発生し、冷凍回路内の高圧部と低圧部を作り出す。
膨張弁は、定圧膨張弁、温度式膨張弁などの種類があり、2次側流路内の冷媒の圧力や温度をフィードバックさせながら、弁の絞り量を調整する。
●放熱水
水冷コンデンサに流される冷却水で、冷凍回路内で発生した廃熱を外部に排出する。
クーリングタワー水、チラー水などが、一般に工場や建築物に循環され、放熱水として利用される。
●ホットガスバイパス
冷凍回路で圧縮機から吐出された高温高圧の冷媒ガス(ホットガス)を、凝縮機で凝縮させずに、蒸発器(低圧側)にバイパスする回路を組む場合がある。これは、冷却負荷が小さくなったとき(冷やす物が無いとき)に、蒸発器の温度(圧力)が下がりすぎたり、圧縮機に液冷媒が吸引されてしまうことを防ぎ、冷凍回路を安定させる効果がある。
また、ホットガスを意図的に蒸発器に流すことで、蒸発器を冷却目的でなく、加熱させる目的で使用することもできる。
●冷凍回路の基本
冷凍回路は、冷凍回路内に封入された冷媒ガスが圧縮→凝縮→膨張→蒸発のサイクルを繰返して循環し、回路内に高温部と低温部を発生させる。
コンプレッサでは低圧の冷媒ガスを圧縮して、高温高圧の冷媒ガスを吐出する。高温高圧の冷媒ガスは、凝縮器に入り、外気や冷却水で冷却され凝縮し、高圧の液冷媒となる。高圧の液冷媒は膨張弁などの絞り機構を通過することで急減圧し、その際に一部の冷媒は気化し、気化熱で冷媒自身が冷却され低温低圧で気体と液体が混合した状態になる。気液混合状態の冷媒は蒸発器に入り、蒸発器内で熱を吸収しながら蒸発をし続け蒸発器内を冷却する。蒸発器をでる時点で冷媒は全てが気化して、低圧の冷媒ガスになる。その後低圧冷媒ガスはコンプレッサに吸入され再び高温高圧のガスとなり、サイクルが繰返される。
●冷凍回路の保護装置
冷凍回路においてはコンプレッサなどの電気部品に対する保護と、冷媒の異常圧力に対する保護が必要になる。
コンプレッサ(モータ)の保護として、オーバロードリレー(コンプレッサに内蔵で過電流、過熱を検知)、サーマルリレー(外付けのモータ過電流検知)、温度スイッチなどが保護機器として使用される。
圧力異常に対する保護機器としては、圧力スイッチ、安全弁、破裂板などが使用される。
ただし、小型機器に組み込まれる冷凍回路には、予想される危険度に応じて、オーバロードリレーのみが保護機器として使用される場合や、サーマルリレーと圧力スイッチのみを使用して保護する場合が多い。
●冷凍機
冷媒ガスを圧縮するコンプレッサ。エアコンプレッサなどと区別するために冷凍機と呼ぶこともある。
●冷媒ドライヤ
冷凍回路内でコンデンサを出た後の液冷媒部配管に通常設置されて、冷凍回路内の水分を吸着除去するフィルタ。