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Airtac株式会社に対する不正競争行為差止等請求事件に関するお知らせ



2022年11月15日


東京地方裁判所は、令和4年10月25日、SMC株式会社(以下「SMC」又は「当社」といいます)がAirtac株式会社(以下「Airtac」といいます)に対して提起していた不正競争行為差止等請求事件(令和3年(ワ)第32931号)(以下「本件訴訟」といいます)において、Airtacのカタログ等における自社のソレノイドバルブ及びエアオペレーションバルブの有効断面積及びCv値について不正確な記載がなされていたことを認め、かかる記載は製品の品質を誤認させるような表示に該当するとした上で、AirtacにSMCに対する一定の損害賠償の支払を命じる判決を下しました。
【経緯】
当社は令和2年12月25日、Airtacに対し、Airtacの発行したカタログ「品総合カタログ2017」(本件カタログ)等において、Airtacの一定のソレノイドバルブの有効断面積及びCv値の記載が誤っていることについて、品質を誤認させるような表示をした行為(なお、対象製品については、令和3年10月29日の訴えの変更申立書において拡張されております)は、不正競争防止法2条1項20号所定の不正競争行為に当たるとして、損害賠償請求等を求め、東京地方裁判所に本件訴訟を提起しておりました。

【本件訴訟に係るAirtacの対応】
本件訴訟係属中において、Airtacは以下の対応をしております。
(1) 本件カタログにつき、Airtacウェブサイト上で有効断面積及びCv値の数値を訂正すると共に、正誤表も公開しました。
(2)(数値訂正前の)本件カタログの配布を中止し、廃棄しているとのことです。

【本件訴訟判決の要点】
本件訴訟判決によって認められた要点は以下の通りです。
(1) Airtacによる「本件被告製品」(一定のソレノイドバルブ製品及びエアオペレーションバルブを意味する)についての有効断面積及びCv値の記載が
 不正確であり、その性能について誤認させるような表示であることが認められた(不正競争防止法2条1項20号)。
 なお、この点について、Airtacは、有効断面積及びCv値が不正確であったこと自体は認めつつ、有効断面積及びCv値は本件被告製品の品質に結び付いて
 商品選定に影響する値ではない、工場経営者等が電磁弁を購入する際に重視するのはシリンダとの適合性や価格等であって有効断面積やCv値ではない、
 などとして、Airtacによる今回の表示が品質誤認表示ではないと主張した。しかしながら、裁判所は、有効断面積及びCv値が空気圧制御機器の流量特性を
 表すものであることを前提とした上で、「空気圧制御機器の流量特性は、それを適切に把握しなければ空気圧システムにおいて所定の出力が得られなくなるなど
 の不具合を生じさせかねない重要な要素」であるとして、Airtacの主張は認めなかった。
(2) このような誤認させるような表示をしたことについて、Airtacに少なくとも過失が認められるとされた。Airtacは、本件カタログの配布等に際し、
 取り扱っている被告製品の品質に係る数値として正確な数値を記載する義務を負っていたにもかかわらず、これを怠ったとの認定がなされた。
 なお、この点について、Airtacは、対象となっている本件カタログに掲載された数値の正確性を検証できる設備をAirtac(日本法人であるAirtac株式会社)が
 有していないため研究開発センターの測定結果を信頼するしかないなどと指摘して、自己に過失はない旨主張した。
 これに対し裁判所は、取引先に対して示すカタログ等の記載内容の正確性を確保すべき義務を販売業者が負うのはむしろ当然であること、
 本件被告製品はAirtacグループ内で製造され、本件カタログ等に記載されたデータも同グループ内の企業による計測結果に基づくものであることなどを指摘し、
 上記のAirtacの主張は認められなかった。
(3) Airtacの不正競争と相当因果関係のある弁護士費用相当額の損害賠償請求が認められた。

当社は、SMCグループ行動規範の中で「お客様第一主義を貫き、優れた製品・サービスの提供に努めます」「公正な競争を行います」と定めております。
上記行動規範に照らし「Airtacの誤認をさせるような不正確な表示によりお客様の利益が害される恐れがある」と判断したことが、本件訴訟を提起した最大の理由です。
今回の判決は、Airtacの本件製品における広告の不正確性を認定し、顧客に品質について誤認させるものとして「不正競争行為」があったことを認めております。Airtacは既に一定の措置は採っておりますが、不公正な宣伝広告や製品表示に関してこのような認定を裁判所において得ることは、お客様の利益を守り、公正な競争環境の醸成に資するものと考えております。

SMCは今後もお客様第一主義を貫き、お客様の利益を阻害する企業活動においては法的手段も辞さない毅然とした対応を続けてまいります。

2022年11月15日

SMC株式会社

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